俺が小学校に上がる頃には母の体調は一気に進行して、小3の頃に亡くなった。母の病気は現代医学では治せない不治の病だと後々聞かされた。

そのときの俺は大好きな母が死んで毎日のように泣いていた。戻って来ないのはわからない。ワガママを言って兄を困らせていた。

「母さんが死んじゃった……うわぁぁぁん!!!」

「黒炎、僕が側にいる」

「兄さん……」

「大丈夫、なにがあっても黒炎を守るから」

その言葉に込められた本当の意味を知るのは、それから間もなくしてのことだった。

「どうして置いていったんだ……まだ若かったのに」

「お父さん、四葉のクローバーあげる。これにお父さんが早く元気になりますようにってお願いしたの」

「……それでも死んだ人間は生き返らない。黒炎、覚えておけ。どんなに願っても叶わない夢もあるんだ」