過去編 黒炎side


俺には少し歳の離れた兄がいて、優しい両親もいて、いつも幸せな生活を送っていた。幸いお金に困ることはなかった。

「母さん、四葉のクローバー見つけたよ! コレ母さんにあげる!」

「黒炎、ありがとう。また見つけてきてくれたの?」

「うん! 母さんの病気が早く良くなりますようにってお願いしてるんだ」

母親は元々、病気がちだった。俺を無理して産んだせいで身体がさらに弱くなった。だから俺は母の病気が治るようにと、いつも四葉のクローバーを見つけてはプレゼントしていた。そりゃあ服が汚れても気にしないくらい毎日必死に探した。

「黒炎、また服を汚してる」

「あ、お兄ちゃん!」

仕方ないなと言いながらも汚れてるところを拭いてくれる兄。俺はそんな優しい兄が大好きだった。父の跡を継ぐんだと言って、小さい俺には到底理解できないような本をいつも読んでいた。