私はクスクスと笑いながら立ち上がった。私が好きっていったら、ちゃんと好きって言ってくれる。私はそんな黒炎くんが大好きだ。

「俺は拗ねてないし、そんなに子供じゃないぞ。それと朱里、さっきは3回も俺の足を踏んでたぞ」

「えぇ!? ってダンス経験なんてないんだから仕方ないじゃん。むしろ3回で済んだんだから褒めてほしい」

「開き直るなよ。まぁ、今から踊るのは誰も見てないから気にしなくていい」

そういって手を差し出す黒炎くん。

私たちは踊りだす。ステップは順番通りじゃない、自由にだ。
ここには、BGMも美味しい料理もない。だけど、いいの。2人きりの空間が私をドキドキさせるから。

だけどその日、私たちを見ていた怪しい影は黒炎くんの存在を決して見逃してはいなかった。

こんな楽しい日々がいつまでも続く、そう思っていた。
……この日までは。