さっきのように曲が流れ出すと、私たちは踊りだす。だけど、意外だったのは黒炎くんがしっかりとリードしてくれていたこと。普段からなんでも完璧にできるけど、まさかダンスまで出来るなんて。

「あ……ごめん」

私は考え事をしながら踊っていたせいで、黒炎くんの足を踏んでしまった。

「お嬢様、焦らずゆっくりと」

「は、はい!」

黒炎くんは痛そうな素振りなど微塵も見せず、ダンスを続けてくれた。ヒールで踏まれたんだから絶対痛いはずなのに。