さっきの男性のことは気がかりだけど、もう会うこともないだろうし、そんなに気にしなくていいよね。と、このときの私はそんな軽い程度にしか男性の存在を考えていなかった。

「これ、美味しい……!」

私はせっかくのパーティーなので一人食事を楽しんでいた。それにしても黒炎くん遅いなぁ。

「そんなにがっついていると食い意地が張ってると勘違いされますよ」

「!?」

分厚いお肉を頬張っていると、横から声をかけられた。

「会ちょ……」

「受け付けでの注意事項を貴方は聞かなかったんですか。たしかにそれは自分の名前ではありませんが」

仮面で素顔が見えなくても、さすがにわかる。会長さんだ。何度も話しているから声と背格好でなんとなく察することができる。