「黒炎様、当日はもう少し朱里様にちょうどいいサイズの靴を用意しましょうか」

「ああ、お願い出来るか? それと髪型も今日と同じで頼む」

「かしこまりました」

「……」

私が黒炎くんを見ている間に話がどんどん進められているのは気のせいだろうか。私のことなのに黒炎くんのほうが私のことを大事にしてくれて。
私って大切にされてるんだな……と思うと心が温かく嬉しい気持ちになった。

……あれ? 最初は敬語だった黒炎くんが今では何故か店員さんとやたらフランクに話している。

「ここは昔、世話になった店なんだ」

「そうなんだ」

私の言いたいことを察してくれたのか、すぐに答えてくれた。それにしても、こんなに高そうなお店にお世話になってるって……ん? 昔って、いつの話だろう。少なくとも私と一緒に来たことはないし。