数分後、私は髪型も綺麗にセットしてもらい、ヒールの高い靴も履かせてもらった。

「なんだか魔法がかかったみたい……」

私はそう口に出した。それほど手際がよく、自分が別人に見えたから。
なんだかお姫様になった気分でさっきまでの疲れもどこかに吹き飛んだ。

「お似合いですよ、お客様」

「あ、ありがとうございます」

お世辞だってわかってるけど、ここは素直に受け取っておこう。

「あれ、そういえば……」

さっきまで、そこで待っていた黒炎くんの姿がいない。一体、どこにいったんだろうとあたりを見渡していると「黒炎様なら今終わったところですよ」と店員さんから言われて何のことだろうと思った。