いろんなドレスを着て、早一時間。ついに黒炎くんの御眼鏡に適うものが見つかった。真剣に私が似合うものを選んでくれるのはいいんだけど、まさかここまでとは……何着も試着した私はもうヘトヘトだった。でも、姿見を見ても確かに今まで着たどのドレスよりも似合う。

「この際だから髪型と靴も選んでもらうか」

「い、いや。もうその……」

「俺が見たいんだ。それにせっかくだったら今よりも、もっと綺麗になれた自分を見てみたくないか? ……彼女を綺麗に仕上げてくれませんか」

「かしこまりました」

「は、はい!」

高そうな店でも黒炎くんは普通に接していた。というか、こんなお店の店員さんと気軽にお話してるし。