テキパキとこなす黒炎くん。その口調も雰囲気も誰かに似ている気がする。それに普段では見ない黒炎くんが何故だか遠い存在に見えた。

私が知らないところで教養を身につけていて。それはまるで……って、考えすぎだよね。黒炎くんは頭もいいし、接客マニュアルを借りたのを読んでぱぱっと暗記しただけ、だよね。

それからというもの、ひっきりなしにお客さんが来ていて、教室の外は行列だった。その理由は言うまでもなく、黒炎くん目当てで来る女性客。

イケメンの高校生が執事服を着ていて接客しているとウワサが広まり、今ではこんな感じになってしまった。

「お待たせしました、お嬢様」