ーーー文化祭が幕を開けた。

「おかえりなさいませ、ご……ご主人様」

たくさん練習したけど、やっぱりいざお客様を相手にすると、このセリフは恥ずかしすぎる!

「おかえりなさいませ、お嬢様。お席までご案内します。……こちらメニューになります」

チラッと遠目で黒炎くんを見るも、練習にほぼ不参加だったのにめちゃくちゃ完璧に接客をしている。それどころか本物の執事みたい……凄くカッコいい。

「あの、執事さんのオススメとかってあります?」

「そうですね……まだ暑いですし、桃のコンポートゼリーなんていかがでしょう?」

「じゃあ、それを一つお願いします」

「はい、わかりました」