「何もされてないと言ったら嘘になるけど……って、痛いよ黒炎くん」

「わ、悪い。その様子だとキスとかはされてないんだな。……朱里が無事で本当に良かった」

手の力を緩めたと思ったら、私の身体を抱きしめる黒炎くん。あぁ、黒炎くんの匂いだ。すごく落ち着く……。

「キスはされてないよ。でも、私のことを本気で好きなんだって気持ち伝わってきた。だから申し訳なくて……」

「それは別に好きなやつがいるってことか?」

「う、うん……。あと、ありがとう。助けに来てくれて。大事な幼馴染としてでも凄く嬉しかった」