「こ、黒炎くん!?」

そこには、いるはずもない黒炎くんがいて……私のことを後ろから抱きしめてくれている。

「柊黒炎、合鍵をこんなときに使用するのは控えてください」

「“こんなとき”だからこそ使ってるんです。さっきのメールはなんですか。別に貴方が自分の家で何をしようが構わないけど、朱里になにかするって言うんだったら話は別です。

会長、貴方のことを嫌いになったりしません。会長にはお礼をいくら言っても足りないくらいなんですから。でも、朱里に手を出すのだけはやめてください。
……ほら朱里、行くぞ」

「え……う、うん」