「さっきから、痛いくらいに悪寒が……」

「!?」

黒炎くんがチラリと後ろを見る。私はすかさず、看板の裏に隠れる。

「……気のせい、か? そんなことより早く行かねえと!」

(良かった、バレてない)

私はホッと肩の荷が下りるように安堵する。
早く行くって、やっぱり恋人のところ? 他校に彼女がいるってこと?

私の心はモヤモヤで積もっていく。
まるで、雨が降りそうで降らない曇り空のときみたい。