「その男性の方が朱里様はお好きなんですね」

「は、はい……」

焔さん、少ししか話してないのに私が黒炎くんのことを好きってもうバレちゃった。私ってそんなに顔に出てたのかな? こうも顔を真っ赤にさせれば気付かれても仕方ないか。

私とは違い、焔さんは微笑んでいた。その笑顔はとても綺麗だと思った。

「あ、黒炎くんがそろそろ着くって連絡がありました」

「黒炎?」

「さっき話してた幼なじみの名前ですよ、変わった名前ですよね。って、私がいうのも変な話ですけど」

あははと冗談まじりに笑う私。しかし、焔さんは「主様が呼んでいるようなので戻りますね」と言ったが、その表情はさっきとは違い焦っていた。

だって、スマホも何も見ていないのにそんなことを言っていたから。ただ、主様っていうのはあの先輩だってことだけはわかる。