「夏祭りですか?」

宿題が一段落し、私は会長さんに黒炎くんのことについて話していた。

「貴方が知らないとは意外でした。そういうイベント事は恋を更に加速させますよ。柊黒炎はそういったゲームをしているなら尚更食いつくと思いますが」

付き合ったことがないというわりに会長さんのアドバイスは的確だった。それにしても、会長さんの口から恋やゲームって単語を聞くのはなんだか新鮮だ。

「た、確かに。近所で夏祭りがもうすぐあるのは知ってたんですけど、誘うかどうか迷ってて…… 」

「今さら躊躇するなんて貴方らしくもない」

会長さんの意見は最もだ。黒炎くんのことを知ると決めた以上、こっちからアタックしないと何も始まらない。だって黒炎くんは私のことを異性として好きじゃないから。

「実は……これこそ意外って思われるかもしれないんですけど。林間学校以来、黒炎くんと会ってないし連絡も来ないんです。だから嫌われてるんじゃないかとか」

「……それは恐らく自分のせいなので気にしないでください。ですが、今日からは落ち着くと思います 」

そういうと申し訳なさそうに謝る会長さんは私から視線を逸らす。