「会長さんの言葉のニュアンスって難しいですよね。その話し方のせいで堅物会長って呼ばれてたりして~……って、あれ?」

読書をしながら私に勉強を教えてくれていた会長さんがパタンと本を閉じ机に置いたかと思えば、徐々に距離が近づいてくる。

「もしかして、貴方を不快にしますか」

「え?」

「自分の話し方のせいで貴方を不愉快にしたのかと聞いているんです」

「そんなこと思ったことないです! 確かに難しくてたまに理解するのに時間かかるときがありますけど、それは私の勉強不足っていうか……」

会長さんが捨てられた子犬ように落ち込んでいる。私は必死に会長さんに励ましの言葉をかける。