「海で溺れているとき、最初に助けに来れなくてごめん。誰かが助けるからって、女子が俺を……言い訳に聞こえるかもしれない。だけど、さっきのこと謝りたくて」

「ううん、大丈夫。黒炎くんのことわかってるから……なんとなく察しはついてたよ」

「朱里は優しいな。次からは何があっても一番に助けに行くから。朱里は俺にとって大事な幼馴染だからな」

「うん、ありがとう」

大事な幼馴染、か……ただの幼馴染って言わないんだね。それに私が抱きついたとき拒絶しなかったのは少なくとも私のこと嫌いじゃないってことだよね。

黒炎くんにとって、今の私はどのくらいの存在なんだろう。

だけど、今はどうか胸の鼓動が速いのだけは伝わらないで。ドキドキしているのがバレたら、この“好き”って気持ちまでわかってしまうから。

今はただ、この背中に甘えていたいの。