ガサッ! と近くで聞こえた。

「ヒッ! いやっ……」

正体のわからない音に、私は泣きそうになった。

「朱里! 大丈夫か!?」

「黒、炎……くん?」

そこには、私が助けてほしいと願った黒炎がいた。予想外すぎて一瞬、現実なのか疑ってしまう。

どうして、いるはずのない黒炎くんが洞窟に?

「星空と朱里が時間がかなり経ってるのに戻って来ないって先生に聞いてさ。心配になって探しに来たんだ。そしたら案の定……あ、朱里?」

「黒炎くん、怖かったよ……っ」

ガバッと黒炎くんに抱きつく私。黒炎くんの言葉は半分も耳には入ってこなかった。