「やっぱり人の噂ってアテにならないんだなって思って」

私が口元を隠しながら笑っていると、「貴方はそのほうが良いですよ」と優しい言葉をかけてくれた。だけど、私が笑っている理由は今ひとつわかっていないようだ。

会長さんは最初に堅物だってイメージがつきすぎて話しにくいと思っていたけど、実際は助けてくれるし手当てもして、痛みを忘れるようにたわいのない会話をして気を遣ってくれるいい先輩だ。

「あの、迷惑でないなら……恋の相談とか時々でいいから乗ってくれませんか?」

「生徒の悩みを解決するのは生徒会長の役目ですから構いませんよ。ただ自分は交際したことがないので、あくまで相談に乗るだけですが」

「ありがとうございます! 会長さんと話してたらなんか元気出ちゃいました」

えへへとアホな顔になる私。って、あんなにモテるのに付き合ったことないとか意外。