「でも、黒炎くんにも何か理由があったんじゃないかって」

「手遅れになってからじゃ遅いんですよ。離れてから、相手の有り難みがわかったところでそれはなんの意味にもならないんですから」

会長さんの言葉がやたらリアルに聞こえた。まるで自分が体験しているみたいに。

「柊黒炎には今一度注意しておきますから。次は大丈夫です」

「ひい、らぎ……」

黒炎くんの名字が変わっていないことに気付いた。

「あの、会長さん。黒炎くんのこと何か知ってるんですか!? 知ってたら教えてください! 黒炎くんから最近はいつも会長さんの話を聞くんです。それって少なくとも友人ってことですよね!?」