バシャバシャと水面が揺れているのが気付いたのか、みんなが騒いでいた。

「え、なんであなたが……!」

「そうですよ! 先生たちを呼んだほうが」

「それだと手遅れになります」

薄れゆく意識の中で、私は心の中で黒炎くんの名前を呼んでいた。

一歩間違えたら死ぬかもしれないっていうのに、私の中は黒炎くんでいっぱいなんだ。

あれ……誰かが私を助けに来てる? そんな気がする。

誰なの? 私は差し出された手を握り返すことしかできなかった。

「大丈夫ですか。それと息は苦しくありませんか」

「え……は、はい。もう大丈夫です」

私は気が付くと会長さんにお姫様抱っこされていた。こういう時、助けに来るのは黒炎くんだと思ってたのに。