「それなら良かった」

「ねぇ、会長さんは遊んだりしないの?」

「あー……あの人は俺たち後輩を見てるだけだから」

頬をポリポリと掻きながら、なぜか微妙な表情をする。その視線は私ではなく会長さんを見ていた。

「黒炎君。良かったら、私達とビーチバレーしない?」

「人数が一人足りないんだよね~」

黒炎くんが会長と距離を離れるや否や、女子たちは私そっちのけで黒炎くんに喋りかける。

私がいること気付かれてない? 
いや、おそらく気付いていても自分たちが黒炎くんと遊びたいから誘ってるんだろうなぁ。

「で、でも朱里が……」

「えー、付き合ってるわけじゃないし良いじゃん」

「ほら行こう、黒炎君」

グイグイと腕を引っ張られ黒炎くんは女子たちと一緒にビーチバレーをしに行った。私はその光景をただ見てるだけしか出来なかった。