「朱里。大丈夫か」

お化け屋敷から出た私はベンチに座っていた。が、黒炎くんとまともに会話出来る自信がない。

吊り橋効果とかよく聞くけど、お化け屋敷だと恋は生まれない気がする。

「あんまり大丈夫じゃない……」

私がぐったりしていると、「俺の膝で良ければ貸すぞ」と自分の膝をトントンと叩いている。

黒炎くんは怖がってる様子がないから平気だったんだろう。それもそうか、自分から私をお化け屋敷に誘うくらいだし。

「お言葉に甘えて借ります。でも……」

「ん? どうした??」

黒炎くんは何も気にしてないみたいだけど、これ普通は逆な気がする。あと物凄く恥ずかしい。

突然何を言ってくるかわからない黒炎くんの発言には毎回ドキドキが止まらない。さりげなく服を褒めてくれたり、今みたいに膝枕してくれるし。