加恋ちゃんと手をつないで歩く道。


 その時間はとても穏やかで幸せ。


 その穏やかで幸せなとき、僕は横目でチラッと加恋ちゃんのことを見た。


 穏やかで美しい加恋ちゃんの横顔。


 僕は、そんな加恋ちゃんに見とれていた。


 加恋ちゃんに見とれながら僕は思っていた。


 僕は、このままずっと加恋ちゃんの手を離したくないと。


 ……だって……。


 ……だって……この手を離してしまったら……。


 ……いつか……。


 ……いつか……この手を離さなければいけない日がきてしまいそうで……。


 もしそんなことになってしまったら……僕は……。


 ダメだ……そんなことを考えてしまっては……。

 そんなことを考えてしまっては本当に……。



「優くん……?」


 ……‼


 加恋ちゃんの呼びかけに僕は我に返った。


 そして気付いたらいつもの待ち合わせている公園にいた。


 もう着いてしまったんだ……早いな……。