拓斗くんの両親と会った時のために、あらかじめ考えていた言い訳を話す私。するとふたりはにこやかな笑みを浮かべた。初対面だけれど、愛息のお墓参りに来た私たちを、好意的に受け止めてくれたようだった。
「そうですか。わざわざありがとうございます」
「拓斗もきっと、喜んでいると思います」
ふたりは私たちに深々と会釈をした後、線香と花を手向けた。そしてお母さんの方が、バッグから包みを取り出し、それを開いて紙皿の上に乗せ、墓石の前に置く。
それは、カステラのようなスポンジのような、薄黄色のお菓子だった。
「そちらは……?」
気になった私はお母さんに向かって尋ねる。
「ああ、私が作ったシフォンケーキです。あの子の大好物で、生前は喜んで食べてくれました。だから月命日に毎回作って、こうしてお墓にお供えしているのです」
寂しげに笑って彼女は言った。お父さんはじっと、ふわふわのシフォンケーキを見つめている。
――やっぱり、お母さんもお父さんも拓斗くんのことを今も大切に思っている。深く愛している。きっと、これからも一生。
「とてもおいしそうですね。拓斗くんもきっと、喜んでいると思います」
私がそう言うと、お母さんは瞳にうっすらと涙を溜めた。
「……ありがとうございます。そう言っていただいて、なんだか救われた気分になりましたわ」
「そうだ。実はいつも、お墓の前で拓斗と一緒にこのケーキを食べることにしているのですよ。よかったらおふたりもお召し上がりになりませんか?」
「そうですか。わざわざありがとうございます」
「拓斗もきっと、喜んでいると思います」
ふたりは私たちに深々と会釈をした後、線香と花を手向けた。そしてお母さんの方が、バッグから包みを取り出し、それを開いて紙皿の上に乗せ、墓石の前に置く。
それは、カステラのようなスポンジのような、薄黄色のお菓子だった。
「そちらは……?」
気になった私はお母さんに向かって尋ねる。
「ああ、私が作ったシフォンケーキです。あの子の大好物で、生前は喜んで食べてくれました。だから月命日に毎回作って、こうしてお墓にお供えしているのです」
寂しげに笑って彼女は言った。お父さんはじっと、ふわふわのシフォンケーキを見つめている。
――やっぱり、お母さんもお父さんも拓斗くんのことを今も大切に思っている。深く愛している。きっと、これからも一生。
「とてもおいしそうですね。拓斗くんもきっと、喜んでいると思います」
私がそう言うと、お母さんは瞳にうっすらと涙を溜めた。
「……ありがとうございます。そう言っていただいて、なんだか救われた気分になりましたわ」
「そうだ。実はいつも、お墓の前で拓斗と一緒にこのケーキを食べることにしているのですよ。よかったらおふたりもお召し上がりになりませんか?」