とにかくあんな小さい子を地獄送りにするのは、なんとか阻止しなくっちゃ……と、私は明日のことを考えて意気込むのだった。





「着いたぞ、陽葵」

「ほ、本当に瞬間移動してる……」


 驚愕しながらも、私はきょろきょろと辺りを見渡す。見慣れない墓地の一角に、私と紫月は立っていた。

 昨日、拓斗くんのお墓が隣の市にあることが発覚した。神社から出て、電車やバスを使っていくしかないなあ、神様が公共の交通機関を利用するって変な感じだけど……なんて思っていた私だったけれど。

 今日になってお墓に向かおうとしたら、紫月が「行先さえ決まっていれば瞬間移動ができるので、そんなものを使う必要はない」と言ったのだ。しかも、彼の体に触っていれば私も同じように一瞬で移動できるのだと。

 いくら神様だからって、そんなことできるの?と半信半疑だった私。しかし、紫月の背中を触り「行くぞ」と声が聞こえ、まばたきしたらもう目的の墓地に到着していたのだった。


「すごすぎる……。瞬間移動、便利な能力で羨ましいなあ」


 感心して私は言う。これならば、好きな場所に行きたい放題じゃない? 海外旅行にだって、日帰りで行けるのかな?


「そこまで便利というわけでもない。移動可能なのは自分の半径十里……四十キロメートル弱の範囲だ。どこへでも行けるというわけではないさ」

「へえ……」


 いや、それでも十分羨ましいけれど。


「それより、拓斗の墓へ行こう。両親が来ているかもしれん」

「あ! そうだったね」