紫月は私に言われた通り、計りの上にボウルを乗せ、量を確かめながら薄力粉をその中に入れていく。
「ふむ……。入れすぎてしまった。なかなかぴったりは難しいな」
「少しずつ出すんだよ。余分な分はスプーンで袋に戻してね」
「本当に丁寧な作業だな。毎日、こんなことを楽し気にやっている陽葵には、本気で尊敬してしまう」
「そんな、大袈裟だよ~」
私にとってはどれも楽しい作業なので、大層な褒めっぷりに感じた。だけど、彼が認めてくれていることは素直に嬉しい。
なんだか楽しい気分になった。最近はずっと、ひとりでキッチンに立っていたけれど、大叔父さんが存命だったころはこんな風にふたりで楽しくお喋りしながら料理をしていたっけ。
料理に慣れていない紫月が、私の隣に立って少し困ったようにしている姿はどこかかわいらしく思えたし。
――すると。
「本当に仲良しだねえ。私たちの若い頃を思い出すよ」
「えっ!」
キッチンに隣接したダイニングで、おばあさんについていたおじいさんに微笑ましそうにそう言われたので、私は虚を衝かれてしまう。
「ふっ……。私と陽葵の絆はこんなものではないぞ。それはそれは、深い愛で結ばれているのだ」
「ほうほう、羨ましい限りだねえ」
何故か得意げに、私にはまったく心当たりの無いことを紫月は言ってのける。おじいさんもニコニコと笑いながら、頷いていた。
「ふ、深い愛って何言ってるの!?」
だいたいまだ出会って一週間じゃないの!
「まあそう照れるな。こうして台所にふたりで立って協力し合うなんて、もう夫婦そのものではないか?」
「ふむ……。入れすぎてしまった。なかなかぴったりは難しいな」
「少しずつ出すんだよ。余分な分はスプーンで袋に戻してね」
「本当に丁寧な作業だな。毎日、こんなことを楽し気にやっている陽葵には、本気で尊敬してしまう」
「そんな、大袈裟だよ~」
私にとってはどれも楽しい作業なので、大層な褒めっぷりに感じた。だけど、彼が認めてくれていることは素直に嬉しい。
なんだか楽しい気分になった。最近はずっと、ひとりでキッチンに立っていたけれど、大叔父さんが存命だったころはこんな風にふたりで楽しくお喋りしながら料理をしていたっけ。
料理に慣れていない紫月が、私の隣に立って少し困ったようにしている姿はどこかかわいらしく思えたし。
――すると。
「本当に仲良しだねえ。私たちの若い頃を思い出すよ」
「えっ!」
キッチンに隣接したダイニングで、おばあさんについていたおじいさんに微笑ましそうにそう言われたので、私は虚を衝かれてしまう。
「ふっ……。私と陽葵の絆はこんなものではないぞ。それはそれは、深い愛で結ばれているのだ」
「ほうほう、羨ましい限りだねえ」
何故か得意げに、私にはまったく心当たりの無いことを紫月は言ってのける。おじいさんもニコニコと笑いながら、頷いていた。
「ふ、深い愛って何言ってるの!?」
だいたいまだ出会って一週間じゃないの!
「まあそう照れるな。こうして台所にふたりで立って協力し合うなんて、もう夫婦そのものではないか?」