神様の力が使えない紫月は、人間の私と何ら変わらないってことか。ちょっと拍子抜けた気分になったけれど、私ひとりで悩むよりは百倍マシだ。
「今日はもうじき夕方になってしまう。神通力で見たところ、あの老人とその妻はもう休む準備に入っているな。だから明日、彼の元へと一緒に行こう。夜羽の刺客も、俺が一緒なら襲い掛かってくることもない」
「うん!」
参拝客の少ない神社とはいえ、神様は何人ものお願い事を聞いて道を示していかなくてはならない大変なお仕事だと思う。ここ一週間、彼と一緒にいた私は知っていた。
だからきっと、神社から出て私と一緒におじいさんのところへ行って、神の力を使わずに願いを叶える手伝いをするなんて、きっと彼にとって面倒なことだろうと思う。
だけど紫月は「明日行こう」と、さらりと誘ってくれた。私からお願いしたわけではないのに、彼の方から。
私の気持ちを紫月が汲んでくれた気がして、とても嬉しかったんだ。
*
次の日。朝食を摂り終えて朝の参拝客のお願い事を聞いた後、私と紫月は約束通りあのおじいさんの家へと向かった。自宅は紫月の神の力による千里眼にて確認済みだ。
ちなみに今日の午前中のおやつ作りはお休みすることにした。そう告げると千代丸くんは「えー……。がっかりですニャ」と肩を落とし、琥珀くんも「仕方ないですけど、残念です……」と項垂れた。そこまで求められていたことは知らなくて、嬉しかった。
「……あのさ。いきなり訪問したら怪しまれないかな?」
「今日はもうじき夕方になってしまう。神通力で見たところ、あの老人とその妻はもう休む準備に入っているな。だから明日、彼の元へと一緒に行こう。夜羽の刺客も、俺が一緒なら襲い掛かってくることもない」
「うん!」
参拝客の少ない神社とはいえ、神様は何人ものお願い事を聞いて道を示していかなくてはならない大変なお仕事だと思う。ここ一週間、彼と一緒にいた私は知っていた。
だからきっと、神社から出て私と一緒におじいさんのところへ行って、神の力を使わずに願いを叶える手伝いをするなんて、きっと彼にとって面倒なことだろうと思う。
だけど紫月は「明日行こう」と、さらりと誘ってくれた。私からお願いしたわけではないのに、彼の方から。
私の気持ちを紫月が汲んでくれた気がして、とても嬉しかったんだ。
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次の日。朝食を摂り終えて朝の参拝客のお願い事を聞いた後、私と紫月は約束通りあのおじいさんの家へと向かった。自宅は紫月の神の力による千里眼にて確認済みだ。
ちなみに今日の午前中のおやつ作りはお休みすることにした。そう告げると千代丸くんは「えー……。がっかりですニャ」と肩を落とし、琥珀くんも「仕方ないですけど、残念です……」と項垂れた。そこまで求められていたことは知らなくて、嬉しかった。
「……あのさ。いきなり訪問したら怪しまれないかな?」