「うみゃい。うみゃいですニャ~。もうひとつ!」


 口いっぱいに塩大福を詰めて、ウニャウニャ言う千代丸くんの姿がなんとも愛らしくて、私はくすりと笑う。しかしそんな彼の姿を見た琥珀くんが、顔を引きつらせた。


「こらこら、はしたないよ千代丸。口の周りにたくさん粉がついているよ」

「そう言う琥珀も、塩大福はもう三個目のようだが」


 紫月が少し意地悪く笑って突っ込みを入れると、琥珀くんはばつの悪そうな表情をした。ちなみに紫月も、すでに三つ完食し四つ目に手を伸ばしている。


「いや……その。陽葵さまの塩大福が絶品すぎまして……。つい手が止まらなくなってしまいます……」

「そう? おいしかったんなら、嬉しい! ありがとうね、いつもみんなたくさん食べてくれて」


 三人の豪快な食べっぷりに嬉しくなって私は破顔すると、持っていた塩大福にかじりつく。うん、皮はもちもちした食感になったし、甘い餡が塩気と絶妙にマッチしている。今日も甘味係の仕事を、上手にこなせたと思う。

 今日はとても天気が良く、秋の匂いのする風が清々しい。私たち四人は縁側に座り、庭木が風になびくのを眺めながら、おやつを堪能していたのだった。

 ――私が潮月神社で暮らすようになって、すでに一週間。甘味係の仕事にもだいぶ慣れ、日々のルーティンも定まってきた。