先ほどとは全然別のことで、恥ずかしがってしまう私。私のお腹の虫が大きく、その場に響き渡るように鳴ったのだ。

 そう言えば、昨日の夜は消化のいいお粥を食べただけだ。朝食の時間もとうに過ぎているほど時間が経ってしまったのだから、体が空腹を訴えても無理はない。

 紫月は微笑ましそうに私を見つめた。


「はは。お腹がそれほど大きくなるってことは、元気な証拠だな」

「……うう。まあ、元気は元気だけど」

「もうすぐおやつの時間だ」

「え? おやつ?」

「十時と十五時はおやつの時間だろう? 人間もそうなんじゃないか?」

「ま、まあ……。小さい子はそうかな?」


 大人になるとあまりおやつの時間なんて意識しないものだけど……。神様はその辺はちゃんとしているらしい。なんだかかわいらしいなと思った。何より、お腹がすいている私にとってはありがたい。

 食事は人間と同じ感じみたいだったけれど、おやつもそうなんだろうか? お菓子を食べるのかな? 神社だからやっぱり和菓子なのかな?


「よし、では一緒に食べに行くとしよう」

「うん!」


 おやつが楽しみになってきた私は、弾んだ声で返事をする。――しかし。


「あまり味には期待できんがな」

「……え?」


 曇った笑顔を浮かべて紫月が言った。一体どういうことなのだろう。この神社の料理番は琥珀くんだったはず。昨日、彼が作ってくれたお粥はとてもおいしかったのだから、おやつもそんなにまずくはならないと思うんだけど。