「し、紫月さんが神様……。神通力……」
まるで日本昔話のような話だ。昨日までの私なら、何ひとつ信じなかっただろう。
だけど実際にボロボロの社が豪邸に変化する瞬間をこの目で見ているし、眼前には猫型の神使が私の看病をしている。
いくら信じがたい話とはいえ、受け止めるしかなかった。
「人間が真の姿の潮月神社を訪れるのは初めてですがニャ。僕たちは紫月さまを慕っておりますニャ~。ずっと寂しいひとり身だった紫月さまに、こんなにかわいらしい婚約者ができてくれて、屋敷の者はみんな狂喜乱舞ですニャ!」
「そ、そうなんだ……」
実は結婚する気はないだなんて、あまり言えない雰囲気だ。密かに心苦しくなる私。
頃合いを見計らってみんなに打ち明けることにしよう。そしたら従者のひとりとして扱ってもらうようお願いしよう。
「ところで紫月さんはどこへ行ったの?」
話がひと段落したところで、気になって私は尋ねる。ほぼ何の説明もなくこの場所に私を連れてきた張本人は、一体どこへ? 神様だから忙しいのかな。
「陽葵さまがいきなり倒れちゃったから、紫月さまは大層心配しておられまして。ついさっきまではこの部屋に一緒にいましたニャ! だけど炊事係のものが陽葵さま用のご飯を作っていたので、その様子を見に行くと出て言ってからまだ戻ってきませんニャ」
「ご飯?」
そう言えば、長い時間何も胃に入れておらず、腹の虫が今にも鳴りそうだ。何かいただけたらそれはそれはありがたい。
だけど、神様とその従者たちが言うご飯って、一体どんな物なんだろう。千代丸くんの見た目から考えると海産物だろうか。もしくはキャットフード?……いや、まさか。
まるで日本昔話のような話だ。昨日までの私なら、何ひとつ信じなかっただろう。
だけど実際にボロボロの社が豪邸に変化する瞬間をこの目で見ているし、眼前には猫型の神使が私の看病をしている。
いくら信じがたい話とはいえ、受け止めるしかなかった。
「人間が真の姿の潮月神社を訪れるのは初めてですがニャ。僕たちは紫月さまを慕っておりますニャ~。ずっと寂しいひとり身だった紫月さまに、こんなにかわいらしい婚約者ができてくれて、屋敷の者はみんな狂喜乱舞ですニャ!」
「そ、そうなんだ……」
実は結婚する気はないだなんて、あまり言えない雰囲気だ。密かに心苦しくなる私。
頃合いを見計らってみんなに打ち明けることにしよう。そしたら従者のひとりとして扱ってもらうようお願いしよう。
「ところで紫月さんはどこへ行ったの?」
話がひと段落したところで、気になって私は尋ねる。ほぼ何の説明もなくこの場所に私を連れてきた張本人は、一体どこへ? 神様だから忙しいのかな。
「陽葵さまがいきなり倒れちゃったから、紫月さまは大層心配しておられまして。ついさっきまではこの部屋に一緒にいましたニャ! だけど炊事係のものが陽葵さま用のご飯を作っていたので、その様子を見に行くと出て言ってからまだ戻ってきませんニャ」
「ご飯?」
そう言えば、長い時間何も胃に入れておらず、腹の虫が今にも鳴りそうだ。何かいただけたらそれはそれはありがたい。
だけど、神様とその従者たちが言うご飯って、一体どんな物なんだろう。千代丸くんの見た目から考えると海産物だろうか。もしくはキャットフード?……いや、まさか。