そもそも私は猫が大好きなのだ。犬もかわいいけれど、断然猫派だ。人間の子供のような大きさの猫が、立って歩いて服を着て、ときどき「ニャ」と言いながらも人間語を喋っているなんて。
常識を取っ払って考えたら、「かわいい」という感想しか残らない。
「あの……。猫くん、お名前は何というの?」
「僕は千代丸と申しますー!」
尖った犬歯を猫口の端からかわいらしく出しながら、元気よく千代丸くんは言う。
「千代丸、くん」
「さようでございますニャ! 紫月さまの婚約者である陽葵さまに名を呼んでいただけて、嬉しいですニャ!」
高めの少年の声で、勢いよく言われる。
成り行きで紫月さんの婚約者になってしまっているけれど、私まだ彼と結婚するつもりはないんだけどな……。
しかしそんなことを言ったら混乱を招きそうなので、ここではその件については触れないことにした。
「千代丸くん、ありがとうね。倒れた私を看病してくれていたの?」
「看病と言っても、様子を見ていただけですニャ! たいしたことはしておりませんニャ~」
大袈裟に首を横に振る千代丸。揺れるとんがった猫耳が、なんともかわいらしい。
「いいえ。目覚めた時に千代丸くんがいてくれて、なんだか安心したの。……ところで、いろいろあなたに聞きたいのだけど……」
「僕の答えられることならなんなりと!」
「ここがどんな場所で、紫月さんやあなた達が何者なのか、教えてほしいの」
「ニャ……? と、申されますと?」
常識を取っ払って考えたら、「かわいい」という感想しか残らない。
「あの……。猫くん、お名前は何というの?」
「僕は千代丸と申しますー!」
尖った犬歯を猫口の端からかわいらしく出しながら、元気よく千代丸くんは言う。
「千代丸、くん」
「さようでございますニャ! 紫月さまの婚約者である陽葵さまに名を呼んでいただけて、嬉しいですニャ!」
高めの少年の声で、勢いよく言われる。
成り行きで紫月さんの婚約者になってしまっているけれど、私まだ彼と結婚するつもりはないんだけどな……。
しかしそんなことを言ったら混乱を招きそうなので、ここではその件については触れないことにした。
「千代丸くん、ありがとうね。倒れた私を看病してくれていたの?」
「看病と言っても、様子を見ていただけですニャ! たいしたことはしておりませんニャ~」
大袈裟に首を横に振る千代丸。揺れるとんがった猫耳が、なんともかわいらしい。
「いいえ。目覚めた時に千代丸くんがいてくれて、なんだか安心したの。……ところで、いろいろあなたに聞きたいのだけど……」
「僕の答えられることならなんなりと!」
「ここがどんな場所で、紫月さんやあなた達が何者なのか、教えてほしいの」
「ニャ……? と、申されますと?」