手足が長く、純白の被毛をキラキラと神秘的に輝かせた、美しい白猫の姿があった。白猫は私の眼前で、ちょこんと行儀よく座っていた。
「私は月湖。紫月様の補佐役だったものです」
「えっ……!」
驚きの声を私は漏らす。この白猫が、あの大津波の時に身を挺して私や町を守ってくれた、月湖さん? 夜羽の恋人で、彼が紫月を恨むきっかけとなった人っていうこと?
――でも。
「あなたは、もう亡くなってしまったはずでは……?」
紫月や夜羽の話によるとそうだったはず。彼女はこの町の神様である紫月を生かすために、自分が犠牲になったはずだ。
すると月湖さんは、目を細めた。
「ええ……。その通りです。私はもうこの世のものではありません」
静かに月湖さんは言う。確かによく見ると、全身がほんのりと透けていた。
「つまり……幽霊ってことですか?」
「まあ、そんなところです。ですが、私はすでに成仏をしていて、普段魂は天界にいるのです。今日はほんの少しの時間だけ、現世に戻ることができたのです」
つまり、拓斗くんのようにずっとこの世に留まっていたわけではないらしい。でもそんなことができるのなら、なんで今まで現れなかったのだろう。
あなたの恋人が暴走し、あなたが守ろうとした紫月が、消されてしまったというのに。
「今日は私が消滅した時から十五年目の日。そういった節目の日は、天界と人間界の道が繋がりやすくなるのです」
私の疑問を察したのか、月湖さんはそう説明した。ということは、今日だけ限定で月湖さんはここに現れているってことなんだ。
「私は月湖。紫月様の補佐役だったものです」
「えっ……!」
驚きの声を私は漏らす。この白猫が、あの大津波の時に身を挺して私や町を守ってくれた、月湖さん? 夜羽の恋人で、彼が紫月を恨むきっかけとなった人っていうこと?
――でも。
「あなたは、もう亡くなってしまったはずでは……?」
紫月や夜羽の話によるとそうだったはず。彼女はこの町の神様である紫月を生かすために、自分が犠牲になったはずだ。
すると月湖さんは、目を細めた。
「ええ……。その通りです。私はもうこの世のものではありません」
静かに月湖さんは言う。確かによく見ると、全身がほんのりと透けていた。
「つまり……幽霊ってことですか?」
「まあ、そんなところです。ですが、私はすでに成仏をしていて、普段魂は天界にいるのです。今日はほんの少しの時間だけ、現世に戻ることができたのです」
つまり、拓斗くんのようにずっとこの世に留まっていたわけではないらしい。でもそんなことができるのなら、なんで今まで現れなかったのだろう。
あなたの恋人が暴走し、あなたが守ろうとした紫月が、消されてしまったというのに。
「今日は私が消滅した時から十五年目の日。そういった節目の日は、天界と人間界の道が繋がりやすくなるのです」
私の疑問を察したのか、月湖さんはそう説明した。ということは、今日だけ限定で月湖さんはここに現れているってことなんだ。