彼は、そんな大叔父さんに向かってにやりと笑って言う。

 私、美人になれるの? 

 そんなようなことを言っていたのは分かり、恥ずかしいけれど少し嬉しかった。


「悪い男にひっかりはしないだろうねえ……」

「本当に心配性だな、大将は」

「そりゃそうだ。俺はあの子のことを本当の娘だと思っているからな」


 さらりと放たれた大叔父さんの言葉に、胸がジーンと温まる。なんでこんな気持ちにさせられるのだろう。よくわからないけれど、私も大叔父さんのことは大好きだ。

 すると、彼は小さく息をついてからこう言った。


「そんなに心配なら、あの子のことは俺に任せてくれないか」


 大叔父さんは目を見開く。


「あんたに?」

「左様。俺はあの子に助けられたからな。もし、幼いうちに大将がどうにかなってしまったら、俺があの子を引き取って育てよう。そして、もし妙齢になったあの子がひとり身なら……」

「ひとり身なら?」

「嫁にもらう」


 大叔父さんはぽかんと口を開け、しばらくの間彼を見ていた。その間、彼はお酒をちびちびと飲みながら、おつまみの枝豆をおいしそうに頬張る。

 って、嫁って……? それって、私があの人と結婚するってこと、だよね……? え、なんでそうなるの?

 まるで理解できなくって、私がひとり混乱していると。


「うわっはっはっは! そいつはおもしれえな!」


 なぜか大叔父さんは大笑いした。何が面白いんだろう。しばらくの間、大声で笑い続ける。


「あんたと話してたら、何ちっちえことで悩んでたんだって、心が軽くなったわ。ありがとうな」

「俺は本気だが」