なんてぼんやりと考えているうちに、私の意識は暗転してしまったのだった。





 意識を取り戻した後に聞いた話だけれど、私はあの後三日三晩も眠り続けていたらしい。

 悪霊になりかけていた拓斗くんの瘴気を、至近距離からたくさん吸ったことで生命力が奪われてしまって、命に関わるほど衰弱してしまったんだとか。

 ……なんて、起きた後紫月や千代丸くんに聞いただけだから、「へー、そうだったんだ」くらいにしか思えなかったけれど。

 自分の体の心配よりも、紫月に対して申し訳ないという気持ちが大きかったんだ。

 三日三晩眠っている間、薄っすらと意識がある瞬間が何度かあった。その時は毎回、紫月が私の顔を心配そうにのぞき込んでいて、「大丈夫か、陽葵」「早く元気になるんだぞ」「また一緒におやつを食べよう」と、優しく声をかけてくれていた。

 目が覚めた後に私が見た、いつも美しかった彼の顔には、目元に濃いクマができ、肌はきめ細やかさをなくし、疲労感が滲んでいた。

 神様も人間のように疲れるんだなあと感心するのと、そんなになるまでどうして私を看病してくれるのだろうという不思議に思う気持ちが生まれた。

 そして、私をここまで心配してくれる人が存在しているという嬉しさと、心配をかけてしまっているという申し訳なさも。

 私が目覚めた瞬間も、紫月は当然のように傍らに居てくれた。目を開けた私が最初に見たのは、涙目になりながら笑う紫月だった。


「陽葵……!」

「……! し、紫月……」