完成したシフォンケーキをひと口齧った後、唸る私。すると傍らで試食に協力してもらっていた千代丸くんと琥珀くんが、もぐもぐとケーキを食べながらこう言った。
「ふわふわでとてもおいしいですニャー!」
「本当にそうです! 口の中でまるで溶けていくかのように、柔らかいです」
「そう? ありがとう」
ふたりはべた褒めしてくれるけれど、しっくり来ていない私はため息をついた。
神社に戻ってからすぐに、紫月に材料に神通力をかけてもらい、シフォンケーキを作り始めた私だったが。
一度目は少し硬くなってしまい、二度目は生地がうまく膨らまなかったので、実は今試食してもらっているのは、三度目の正直で作ったシフォンケーキだった。
今度こそ、と見た目はうまく焼き上がったのだけれど、ひと口食べてみたら違和感があった。これはこれで我ながらおいしくできたとは自負できるけれど、拓斗くんのお母さんが作ったケーキとは、何かが違う気がした。
「さすが、陽葵の作る菓子は絶品だ。いくらでも胃袋に入ってしまうぞ!」
一度目と二度目の失敗ケーキですら、すべてを平らげた紫月が、今回も食いつくす勢いでケーキを口に放り込んでいく。
本当にこの人の胃袋は底なしなんだろうか? 神様だから、人間とは体の作りが違うのかもしれないけれど。
「ありがとう。……でも、おいしいだけじゃダメなんだよ。拓斗くんのお母さんが作ったケーキと、限りなく似たものにならないと」
「――確かに。少し違ったものになっているな」
「え、味が違うって、紫月にはわかるの?」
「ふわふわでとてもおいしいですニャー!」
「本当にそうです! 口の中でまるで溶けていくかのように、柔らかいです」
「そう? ありがとう」
ふたりはべた褒めしてくれるけれど、しっくり来ていない私はため息をついた。
神社に戻ってからすぐに、紫月に材料に神通力をかけてもらい、シフォンケーキを作り始めた私だったが。
一度目は少し硬くなってしまい、二度目は生地がうまく膨らまなかったので、実は今試食してもらっているのは、三度目の正直で作ったシフォンケーキだった。
今度こそ、と見た目はうまく焼き上がったのだけれど、ひと口食べてみたら違和感があった。これはこれで我ながらおいしくできたとは自負できるけれど、拓斗くんのお母さんが作ったケーキとは、何かが違う気がした。
「さすが、陽葵の作る菓子は絶品だ。いくらでも胃袋に入ってしまうぞ!」
一度目と二度目の失敗ケーキですら、すべてを平らげた紫月が、今回も食いつくす勢いでケーキを口に放り込んでいく。
本当にこの人の胃袋は底なしなんだろうか? 神様だから、人間とは体の作りが違うのかもしれないけれど。
「ありがとう。……でも、おいしいだけじゃダメなんだよ。拓斗くんのお母さんが作ったケーキと、限りなく似たものにならないと」
「――確かに。少し違ったものになっているな」
「え、味が違うって、紫月にはわかるの?」