所轄の刑事や事務方からすれば、正直鬱陶しい部分もある。場所は貸さなければならないし、定期的に報告会という名の接待をしなければならない。さらに所轄からも何人か人員を奪われ、一課の手足として働かなければならない。
慌ただしい鳥居坂署は久しぶりだ。
都心のど真ん中だが、麻布署や高輪署に挟まれた小さな地域を守っている鳥居坂署は、元来暇な警察署である。
「大変なことになっちゃいましたね」
巧は犯罪抑止係のオフィスに戻りながら呟いた。脳裏には今朝方見た香西永太の遺体の映像がフラッシュバックする。いけ好かない少年だったし、特殊詐欺の被疑者だった。だけど、あんな風に殺されていいわけがない。
「まあそうだな」
誉は朝から感情を殺しているかのごとく静かだ。巧にはなんとなく誉の悔しさがわかるようだった。現時点で真相は明らかになっていないとはいえ、香西永太を振り込め詐欺グループの主犯としてマークしておけば、防げたかもしれない殺人だ。
誉と巧がふたりで調べたことを、もっと早く刑事課が調べていれば、香西永太の身柄は押さえられたのだ。殺される前に。
慌ただしい鳥居坂署は久しぶりだ。
都心のど真ん中だが、麻布署や高輪署に挟まれた小さな地域を守っている鳥居坂署は、元来暇な警察署である。
「大変なことになっちゃいましたね」
巧は犯罪抑止係のオフィスに戻りながら呟いた。脳裏には今朝方見た香西永太の遺体の映像がフラッシュバックする。いけ好かない少年だったし、特殊詐欺の被疑者だった。だけど、あんな風に殺されていいわけがない。
「まあそうだな」
誉は朝から感情を殺しているかのごとく静かだ。巧にはなんとなく誉の悔しさがわかるようだった。現時点で真相は明らかになっていないとはいえ、香西永太を振り込め詐欺グループの主犯としてマークしておけば、防げたかもしれない殺人だ。
誉と巧がふたりで調べたことを、もっと早く刑事課が調べていれば、香西永太の身柄は押さえられたのだ。殺される前に。