刑事たちの一番後ろにいる男が通り過ぎ際こちらを見た。整った顔形、背が高く足が長く、程よく筋肉のついた体躯。ワックスで撫でつけられた黒髪は艶やかだ。ああ、確かこの人だ、と巧は思う。陣馬遼警部補だ。
少し遅れて走ってきた大西がこちらに目配せをしてから、一課の刑事たちに合流した。大西がいるということは、通り過ぎた刑事は陣馬警部補で確定だ。
「帰るぞ、階」
一課が遺体のシートをめくるのを眺めながら、誉があっさりと言った。巧は驚いて彼女の顔を見る。
「いいんですか?」
「私たちがこれ以上ここにいてもなにもできない。戻って今日の仕事を始めよう。久しぶりにパトカーで特殊詐欺警戒をするぞ。あとは、アポ電強盗の警戒ポスターを作ってくれ」
食い下がらない誉に少々拍子抜けしつつも、巧は従い公園を後にした。
いつも通り朝礼を行い、特殊詐欺警戒に飛び回って戻ると、鳥居坂署には『有栖山記念公園内男子高校生殺人事件』と銘打った特別捜査本部が立ち上がっていた。
殺人事件は所轄の刑事課ではなく、本庁の刑事部捜査一課が担当する。鳥居坂警察署内に特別捜査本部をたて、解決まで刑事が詰め捜査をすることになるのだ。
少し遅れて走ってきた大西がこちらに目配せをしてから、一課の刑事たちに合流した。大西がいるということは、通り過ぎた刑事は陣馬警部補で確定だ。
「帰るぞ、階」
一課が遺体のシートをめくるのを眺めながら、誉があっさりと言った。巧は驚いて彼女の顔を見る。
「いいんですか?」
「私たちがこれ以上ここにいてもなにもできない。戻って今日の仕事を始めよう。久しぶりにパトカーで特殊詐欺警戒をするぞ。あとは、アポ電強盗の警戒ポスターを作ってくれ」
食い下がらない誉に少々拍子抜けしつつも、巧は従い公園を後にした。
いつも通り朝礼を行い、特殊詐欺警戒に飛び回って戻ると、鳥居坂署には『有栖山記念公園内男子高校生殺人事件』と銘打った特別捜査本部が立ち上がっていた。
殺人事件は所轄の刑事課ではなく、本庁の刑事部捜査一課が担当する。鳥居坂警察署内に特別捜査本部をたて、解決まで刑事が詰め捜査をすることになるのだ。