翌早朝、巧は誉からの電話で起床した。時刻は五時。剣道の朝練すら始まっていない時刻だ。

「どうしました? 御堂さん」

寮のベッドに寝ころんだまま、スマホを取った。寝ぼけた声で返す巧に誉が告げる。

『香西永太が他殺体で見つかった。場所は有栖山記念公園だ』
「え?」
『すぐに来い』

巧はベッドから起き上がり、かすれた声で問い返した。

「殺された?」