「おお、落ちる」
メイク落としで濃い目の化粧を落としている誉は、あの酔っぱらったときのように頼りなく見えた。凄腕捜査員なのに人間としては抜けているところがある。
「こんなこと聞くの失礼かもしれませんが、普段のメイクは石鹸で落ちるんですか?」
「水で洗えるものを使っている。といっても、日焼け止め程度しか塗らないが」
やはりほぼ自分の顔面には構っていない様子である。もったいないですよと言おうとしてやめた。セクハラ認定されても困る。
「夕食か。助かる」
化粧を落とすやいなや、誉は用意したおにぎりを取り、ぱくぱくと食べ始めた。割と大食なので、おにぎり三つでは足りなかったかもしれないと、巧は自身のおにぎりもひとつ誉の前に置いた。
「古嶋の妹御には、改めて礼をしなければならないな」
「古嶋の妹がギャルだったのは意外でしたね。お兄ちゃんの職場に手伝いに駆けつけてくれるとか、行動派だなぁ」
「兄妹、仲がいいんだろうな」
どことなく思いのこもった声音に感じられた。聞いたことがないが、御堂誉には兄弟はいるのだろうか。もしいたら、同じようなキツイ性格なのだろうか。案外、真逆の優しさ百パーセントな人だったりして……。そんな聞き方をしたら怒られそうなので、口にしない巧である。
メイク落としで濃い目の化粧を落としている誉は、あの酔っぱらったときのように頼りなく見えた。凄腕捜査員なのに人間としては抜けているところがある。
「こんなこと聞くの失礼かもしれませんが、普段のメイクは石鹸で落ちるんですか?」
「水で洗えるものを使っている。といっても、日焼け止め程度しか塗らないが」
やはりほぼ自分の顔面には構っていない様子である。もったいないですよと言おうとしてやめた。セクハラ認定されても困る。
「夕食か。助かる」
化粧を落とすやいなや、誉は用意したおにぎりを取り、ぱくぱくと食べ始めた。割と大食なので、おにぎり三つでは足りなかったかもしれないと、巧は自身のおにぎりもひとつ誉の前に置いた。
「古嶋の妹御には、改めて礼をしなければならないな」
「古嶋の妹がギャルだったのは意外でしたね。お兄ちゃんの職場に手伝いに駆けつけてくれるとか、行動派だなぁ」
「兄妹、仲がいいんだろうな」
どことなく思いのこもった声音に感じられた。聞いたことがないが、御堂誉には兄弟はいるのだろうか。もしいたら、同じようなキツイ性格なのだろうか。案外、真逆の優しさ百パーセントな人だったりして……。そんな聞き方をしたら怒られそうなので、口にしない巧である。