「雪緒!」
その時、後ろから大きな声が聞こえた。雪緒が振り向き、巧たちも一緒に背後を見る。
そこにはすらりとした体躯の少年が立っていた。脱色しているのだろうブラウンの髪、整えられた眉毛、なかなか端正な顔立ちの少年だ。帝旺学院の制服を着ている。
一見クラスでのヒエラルキーが高いイケメン高校生風だが、左手首には年齢に不相応なブランド物の腕時計が見えた。そして表情はどこか大人びている。
「永太(えいた)」
永太と呼ばれた少年がのっそりと近づいてくる。人を呼び止めておいての緩慢な仕草に、彼の態度の不遜さを感じた。
「なにやってんの、雪緒。そいつら誰?」
巧が口を開く前に、雪緒が答えた。
「鳥居坂署の刑事さんだよ」
永太少年の左の眉がぴくりと震えたのを巧は見た。
「へえ、その刑事サンとおまえはなに話してんの?」
「おまえがいじめるって相談してたんだ」
嘯く口調から、雪緒と永太の関係性が対等なものであることが伝わってくる。見た目は真逆なのに、ふたりに上下はない様子だ。
「こんにちは、私は鳥居坂署の御堂です。犯罪抑止係というところにいます」
誉が最大級に友好的な口調で言う。と言っても、普段が普段なので、瞳を細めてうっすら口の端をあげただけなのだが。
「ふゥん」
顎を上げ人を食ったような表情の永太は、次に雪緒の肩を掴んだ。
「雪緒、行こうぜ」
困惑する雪緒をなかば強引に連れて歩き出す。雪緒は仕方なさそうに永太に従いながら、巧たちに向かい会釈をした。
巧と誉は去っていく男子高校生ふたりを見送った。
その時、後ろから大きな声が聞こえた。雪緒が振り向き、巧たちも一緒に背後を見る。
そこにはすらりとした体躯の少年が立っていた。脱色しているのだろうブラウンの髪、整えられた眉毛、なかなか端正な顔立ちの少年だ。帝旺学院の制服を着ている。
一見クラスでのヒエラルキーが高いイケメン高校生風だが、左手首には年齢に不相応なブランド物の腕時計が見えた。そして表情はどこか大人びている。
「永太(えいた)」
永太と呼ばれた少年がのっそりと近づいてくる。人を呼び止めておいての緩慢な仕草に、彼の態度の不遜さを感じた。
「なにやってんの、雪緒。そいつら誰?」
巧が口を開く前に、雪緒が答えた。
「鳥居坂署の刑事さんだよ」
永太少年の左の眉がぴくりと震えたのを巧は見た。
「へえ、その刑事サンとおまえはなに話してんの?」
「おまえがいじめるって相談してたんだ」
嘯く口調から、雪緒と永太の関係性が対等なものであることが伝わってくる。見た目は真逆なのに、ふたりに上下はない様子だ。
「こんにちは、私は鳥居坂署の御堂です。犯罪抑止係というところにいます」
誉が最大級に友好的な口調で言う。と言っても、普段が普段なので、瞳を細めてうっすら口の端をあげただけなのだが。
「ふゥん」
顎を上げ人を食ったような表情の永太は、次に雪緒の肩を掴んだ。
「雪緒、行こうぜ」
困惑する雪緒をなかば強引に連れて歩き出す。雪緒は仕方なさそうに永太に従いながら、巧たちに向かい会釈をした。
巧と誉は去っていく男子高校生ふたりを見送った。