現在事件は起こっているが、どこで誰が犯罪をしているかはすべて想像の域を出ないのだ。確たる証拠はどこにもない。事件の筋道すら、巧の中にはない。誉の中にはあるのかもしれないが、巧には見えてこない。
「今後、何軒かCrackz関連の店を回るかもしれない。階、そのときはおまえも付き合え」
「え? またこういうところに来るんですか?」
「私は飲めない。それに、男女ふたり連れの方が自然だろう。ギリギリ若者の部類ではあるしな」
巧は若干いっぱいいっぱいだった。クラブという場所自体、今日初めて入ったのだ。騒音もこの雰囲気も苦手だ。
「おまえはこういうところに慣れているかと思ったが」
「慣れてませんよ。空手部が出入りできるのは赤ちょうちんくらいです」
あきらかに期待外れという顔をする誉に、巧は悔しい気持ちで反論する。
「来慣れてない俺が言うのもなんですが、男女ふたり組を装うならもう少し考えましょうよ。こういう場所ってそれなりの服装で来るべきじゃないんですかね」
「それなりとはなんだ。私が考えていないというのか」
「ほら、みんなカジュアルじゃないですか。ジャケット脱いだ会社帰りの若い男はちらほらいますけど、女性はみんなギャルっぽいっていうかなんていうか……」
おそらく誉もクラブには初めて来たのだろう。だから、ほいほいとビジネススーツ姿で入店して目立っている。
「今後、何軒かCrackz関連の店を回るかもしれない。階、そのときはおまえも付き合え」
「え? またこういうところに来るんですか?」
「私は飲めない。それに、男女ふたり連れの方が自然だろう。ギリギリ若者の部類ではあるしな」
巧は若干いっぱいいっぱいだった。クラブという場所自体、今日初めて入ったのだ。騒音もこの雰囲気も苦手だ。
「おまえはこういうところに慣れているかと思ったが」
「慣れてませんよ。空手部が出入りできるのは赤ちょうちんくらいです」
あきらかに期待外れという顔をする誉に、巧は悔しい気持ちで反論する。
「来慣れてない俺が言うのもなんですが、男女ふたり組を装うならもう少し考えましょうよ。こういう場所ってそれなりの服装で来るべきじゃないんですかね」
「それなりとはなんだ。私が考えていないというのか」
「ほら、みんなカジュアルじゃないですか。ジャケット脱いだ会社帰りの若い男はちらほらいますけど、女性はみんなギャルっぽいっていうかなんていうか……」
おそらく誉もクラブには初めて来たのだろう。だから、ほいほいとビジネススーツ姿で入店して目立っている。