足柄はあからさまに『誰コイツ』という顔をしてから、言った。
「それって、俺たちに関係ある? 地元の暇なじいさんたちの寄り合いの相手は、おまえらでしょ。適当な報告を考えてよ」
「適当って、それじゃ……」
「刑事の真似っこはやめような。お荷物の犯抑さん」
その言葉に今度は巧の導火線に火がつきそうになった。
だれがお荷物だ。忙しい忙しいっておまえらはどれほどたいそうな仕事をしているんだ。
巧がぎりっと唇を噛みしめたところで、誉が横から声を張った。
「確かにその通り。私たち犯抑が鳥居坂署刑事課の仕事を代行とは役不足にもほどがある」
確実に『役不足』を真の意味で使っているだろう口ぶりで言い、誉は巧の首根っこを捕まえて踵を返した。背が低い誉が若干背伸びをして、物理的に巧の襟首を掴んでいる。
「結構だ。失礼した」
足柄が不快そうな視線を送っていることに気づき、巧は今にも引き返して殴りかかりそうになる自分を抑えた。誉にやんわり止められなかったら、生安の卯木と一緒になってしまうところだった。
しかしオフィスに戻ると、悔しくて涙がにじんできた。井草と古嶋は定時であがったようですでにいない。デスクの前で、涙を隠すようにうつむいてしまう。
「それって、俺たちに関係ある? 地元の暇なじいさんたちの寄り合いの相手は、おまえらでしょ。適当な報告を考えてよ」
「適当って、それじゃ……」
「刑事の真似っこはやめような。お荷物の犯抑さん」
その言葉に今度は巧の導火線に火がつきそうになった。
だれがお荷物だ。忙しい忙しいっておまえらはどれほどたいそうな仕事をしているんだ。
巧がぎりっと唇を噛みしめたところで、誉が横から声を張った。
「確かにその通り。私たち犯抑が鳥居坂署刑事課の仕事を代行とは役不足にもほどがある」
確実に『役不足』を真の意味で使っているだろう口ぶりで言い、誉は巧の首根っこを捕まえて踵を返した。背が低い誉が若干背伸びをして、物理的に巧の襟首を掴んでいる。
「結構だ。失礼した」
足柄が不快そうな視線を送っていることに気づき、巧は今にも引き返して殴りかかりそうになる自分を抑えた。誉にやんわり止められなかったら、生安の卯木と一緒になってしまうところだった。
しかしオフィスに戻ると、悔しくて涙がにじんできた。井草と古嶋は定時であがったようですでにいない。デスクの前で、涙を隠すようにうつむいてしまう。