「すげえじゃん、大西。巡査長の時も捜査一課にいたけどさ。巡査部長でもう一度呼び戻されるってのは、できるヤツの証拠だよな!」
籠原が誇らしげに言う。
「おまえはもう刑事畑確定だな。捜査一課のエリート刑事が同教場から! くう、感慨深いぜ」
中町も褒め称える。
「はは、ホント。同期の星だよな、大西は……」
同じく称賛する巧だが、表情はつい引きつり、笑う声は自虐的に響いてしまう。
本当のことを言えば、死ぬほど悔しくて羨ましい。
巡査長で刑事講習に行き捜査一課に配属、若くして巡査部長に合格して再び呼び戻されるなんて、巧が描く刑事サクセスストーリーの見本みたいだ。
刑事講習自体、素養があると上司が判断しない限り行かせてもらえないし、ここで成績が悪ければ刑事課には呼んでもらえない。そして巡査部長試験は、初級幹部への通過点であり、一番受験者が多い試験である。同期で合格した人間は大西をはじめ、まだ数人しかいない。
「純粋に嬉しいよ。でも、俺なんか全然だ。先輩たちに比べたら」
謙遜して微笑む大西才太郎は、昔からひたすらに“いいヤツ”だった。
童顔で背は百七十センチちょっとだが、熱血漢で根性があり、どんなときも周囲を気遣って良いムードを作る。
若干おっちょこちょいキャラの巧のことも、警察学校時代から絶妙にフォローしてくれていた。
「おまえ配属されたばっかりで、何言ってんだよ。これからだろ?」
「仕事はわかるんだし、大西なら立場上がってもイケんだろ」
籠原と中町の叱咤激励に、大西は睫毛を伏せ困ったように口を開く。
籠原が誇らしげに言う。
「おまえはもう刑事畑確定だな。捜査一課のエリート刑事が同教場から! くう、感慨深いぜ」
中町も褒め称える。
「はは、ホント。同期の星だよな、大西は……」
同じく称賛する巧だが、表情はつい引きつり、笑う声は自虐的に響いてしまう。
本当のことを言えば、死ぬほど悔しくて羨ましい。
巡査長で刑事講習に行き捜査一課に配属、若くして巡査部長に合格して再び呼び戻されるなんて、巧が描く刑事サクセスストーリーの見本みたいだ。
刑事講習自体、素養があると上司が判断しない限り行かせてもらえないし、ここで成績が悪ければ刑事課には呼んでもらえない。そして巡査部長試験は、初級幹部への通過点であり、一番受験者が多い試験である。同期で合格した人間は大西をはじめ、まだ数人しかいない。
「純粋に嬉しいよ。でも、俺なんか全然だ。先輩たちに比べたら」
謙遜して微笑む大西才太郎は、昔からひたすらに“いいヤツ”だった。
童顔で背は百七十センチちょっとだが、熱血漢で根性があり、どんなときも周囲を気遣って良いムードを作る。
若干おっちょこちょいキャラの巧のことも、警察学校時代から絶妙にフォローしてくれていた。
「おまえ配属されたばっかりで、何言ってんだよ。これからだろ?」
「仕事はわかるんだし、大西なら立場上がってもイケんだろ」
籠原と中町の叱咤激励に、大西は睫毛を伏せ困ったように口を開く。