とはいえ、自分に仕事を押し付けっぱなしの御堂誉については、少々苛立ちも感じた。カッコいいことを言っておいて、部下に丸投げかよ、と。
ひとつ嫌味でも言ってみようかと、四日目の張り込み後にオフィスに戻ってみれば、誉はひとりでPCに向かい合っていた。井草も古嶋もとっくに帰ったようだ。よく見れば、彼女は巧が仕掛けた防犯カメラの映像をチェックしているのだった。
「お疲れ様です、御堂さん」
声をかけるとようやく誉が顔をあげた。
「ご苦労。出入りしている人間のうち六人の身元がわかったぞ」
「え!? もう、ですか?」
驚いて声をあげると、当然とばかりに誉がため息をつく。
「防犯カメラを追って自宅を突き止めただけだ。子どもでもできるぞ。念のため、自宅前まで行って生活実態があるか確認してきたが」
簡単に言うが、今日一日でこの三日間の防犯カメラ映像をチェックしたということになる。三十台すべてでなくてもかなりの量の映像を見て、現地にも行ってきた様子だ。
たったひとりですべて実行可能なのか。おそらくは捜査一課だって、数人掛かりで何日もかけるだろう。
「この六人は、運よく階がカメラを仕掛けた範囲に自宅があった。範囲外のメンバーは高校前で見当たり捜査をするか」
誉は疲れも見せず平然と身元の割れた少年たちのリストを手渡してくるが、受け取った巧は驚きで声が出ない。
御堂誉がワンマンなのはチームプレイをする必要がないからなのかもしれない。処理能力が常人の比ではない。
「今日までで確認できた人員は十三名。階は引き続き、明日の午後も張り込みだ」
「はい、わかりました……」
嫌味なんか言える立場ではなかったことに恥ずかしさが湧いてくる。上司が頑張っているなら負けていられない。能力の差におののいている場合ではない。巧はデスクにつき、残った雑務を片付けた。
ひとつ嫌味でも言ってみようかと、四日目の張り込み後にオフィスに戻ってみれば、誉はひとりでPCに向かい合っていた。井草も古嶋もとっくに帰ったようだ。よく見れば、彼女は巧が仕掛けた防犯カメラの映像をチェックしているのだった。
「お疲れ様です、御堂さん」
声をかけるとようやく誉が顔をあげた。
「ご苦労。出入りしている人間のうち六人の身元がわかったぞ」
「え!? もう、ですか?」
驚いて声をあげると、当然とばかりに誉がため息をつく。
「防犯カメラを追って自宅を突き止めただけだ。子どもでもできるぞ。念のため、自宅前まで行って生活実態があるか確認してきたが」
簡単に言うが、今日一日でこの三日間の防犯カメラ映像をチェックしたということになる。三十台すべてでなくてもかなりの量の映像を見て、現地にも行ってきた様子だ。
たったひとりですべて実行可能なのか。おそらくは捜査一課だって、数人掛かりで何日もかけるだろう。
「この六人は、運よく階がカメラを仕掛けた範囲に自宅があった。範囲外のメンバーは高校前で見当たり捜査をするか」
誉は疲れも見せず平然と身元の割れた少年たちのリストを手渡してくるが、受け取った巧は驚きで声が出ない。
御堂誉がワンマンなのはチームプレイをする必要がないからなのかもしれない。処理能力が常人の比ではない。
「今日までで確認できた人員は十三名。階は引き続き、明日の午後も張り込みだ」
「はい、わかりました……」
嫌味なんか言える立場ではなかったことに恥ずかしさが湧いてくる。上司が頑張っているなら負けていられない。能力の差におののいている場合ではない。巧はデスクにつき、残った雑務を片付けた。