それから夜まで、住人も含めて、出入りする人間はすべて写真に収めた。
チェックしてみると、確かに何人もの若い男がマンションに入っていく。制服の少年もいたが、多くは私服だ。
ざっと十人くらいの若者が十七時くらいまでの間に入っていった。その後、数人同じ顔触れで出入りがあり、二十時頃までには全員がマンションを後にした。念のため、二十二時まで張り込んだが、誰も戻ってこない。
マンションの住人ではないのだろう。やはりなんらかの目的で、このマンションに集まっている。
なお、張り込みはほぼ巧が行い、誉は助手席でずっと仕事をしていた。巧がやるべき企画書は、明日の午前まで猶予をもらったものの、できる時間はこの張り込み後か明日の早朝だ。

(たぶん、しばらく張り込みが続くよな)

巧の予想は当たり、その日から巧は車での張り込みを午後いっぱい担当することとなった。
誉が同行したのは最初の三日だけ。そこからはずっと巧ひとりである。
見張るだけの仕事はきつい。これならオフィスで企画書を作っていたり、ビラ配りをしていた方が建設的なようにも思えてくるが、張り込みは憧れの刑事の仕事の一端でもある。
少し刑事に近づけたような気がする。そんな想いが巧を支えていた。