「遅れたら置いていくぞ!」
「どこに行くんですか?」
「井草巡査部長と古嶋と向来に行くんだ。冷やし担々麺を食べに。遅れたらおまえだけ置き去りだ」
「ぜ、絶対間に合わせます!」

走る巧の頬を汗が伝う。早く戻って企画書を直そう。これ以上攻撃されたくないし、四人で食べる冷やし担々麺はきっとうまいに違いない。
日差しはいつの間にか真夏のものになっていた。



〈了〉