「彼女が導き出した答えは〝自殺〟。他殺に見せかけた自殺、というのが事件の真相だった。事件を解決した高校三年生の名前は御堂誉。自殺した男子高校生・御堂要(かなめ)の双子の姉。きみの上司だ」
巧は言葉を失った。陣馬の言葉がよみがえる。誉は弟を亡くしていると。事故か事件だろうとは思っていた。しかし、自殺とは。そして、それを解決したのが、御堂誉本人……。
「弟の死の真相を暴き、彼女は状況から弟を自殺にそそのかした人物の存在を指摘した。残念ながら、手がかりがなく、その先は追えなかったけれどね。彼女が警視庁に入った理由はそれだよ。国家一種試験が受けられる頭脳を持ちながら、現場で捜査するために地方公務員試験を受けて警視庁に入ってきた」
「その……犯罪被害者の家族はともかく……身内の被害に対し恨みを持った人間は採用されづらいと……」
あくまで一般論であるが、犯罪被害者の中でも強い恨みを持つ人間を警視庁は採用しない。正義の名のもとに鉄槌を下したい、復讐をしたい人間は、法の下に都民を守れないからだ。
「だから、御堂は当時の警視総監の前で誓わされている。私怨に走るな。誰よりも警察官であれと。学科トップの御堂誉のたったひとつの採用条件がそれだった」
陣馬の前で、捜査にはもう興味がないなどと言った誉を思い出す。とんでもない嘘つきだ。彼女の心は、まだ燃えている。弟を死に誘った人間をいつか追い詰めるために。
巧は言葉を失った。陣馬の言葉がよみがえる。誉は弟を亡くしていると。事故か事件だろうとは思っていた。しかし、自殺とは。そして、それを解決したのが、御堂誉本人……。
「弟の死の真相を暴き、彼女は状況から弟を自殺にそそのかした人物の存在を指摘した。残念ながら、手がかりがなく、その先は追えなかったけれどね。彼女が警視庁に入った理由はそれだよ。国家一種試験が受けられる頭脳を持ちながら、現場で捜査するために地方公務員試験を受けて警視庁に入ってきた」
「その……犯罪被害者の家族はともかく……身内の被害に対し恨みを持った人間は採用されづらいと……」
あくまで一般論であるが、犯罪被害者の中でも強い恨みを持つ人間を警視庁は採用しない。正義の名のもとに鉄槌を下したい、復讐をしたい人間は、法の下に都民を守れないからだ。
「だから、御堂は当時の警視総監の前で誓わされている。私怨に走るな。誰よりも警察官であれと。学科トップの御堂誉のたったひとつの採用条件がそれだった」
陣馬の前で、捜査にはもう興味がないなどと言った誉を思い出す。とんでもない嘘つきだ。彼女の心は、まだ燃えている。弟を死に誘った人間をいつか追い詰めるために。