「御堂さんの捜査能力には驚きました。もし、次にあんなことがあっても、彼女はひとりであっさり解決してしまうような気がします。だけど、俺は彼女にひとりきりで捜査をさせたくないです」
「ほう」
「ひとりでどんどん先に行ってしまう御堂さんは、ちょっと心配というか。俺なんかが心配することではないと思うんですけど、部下として、俺に支えられることがあるなら……と今は思っています」
言いながら恥ずかしくなってきた巧は勢いよく顔を上げ、姿勢を正し言った。
「それに俺、捜査一課に入りたいんです! 打算的かもしれないですけど、御堂さんから盗めることってたくさんあると思うんです! だから、御堂さんの下でこれからも勉強したいです!」
「もう、殺人事件は起こらないかもしれないよ」
「きっと、なにがしかの事件に首を突っ込んじゃう気がします」
諸岡が笑い、巧も笑った。
「階、私ね。昔々捜査一課にいたんだよ。刑事畑から出て時間が経ってるから若手は知らないけど」
巧も知らなかった。目の前に、もうひとり憧れの捜査一課経験者がいたなんて。
「十年前、高校三年生の男子が死んだ。捜査一課は他殺とみて、特捜本部を立ち上げ、私も捜査員として加わった。どう見ても他殺だったからね。そこにひとりの女子高生がやってきて、鮮やかな弁舌で捜査員を圧倒した」
なぜいきなり過去の事件を話しだしたのだろう。いや、巧にはわかった。その少女の正体が誰であるか。
「ほう」
「ひとりでどんどん先に行ってしまう御堂さんは、ちょっと心配というか。俺なんかが心配することではないと思うんですけど、部下として、俺に支えられることがあるなら……と今は思っています」
言いながら恥ずかしくなってきた巧は勢いよく顔を上げ、姿勢を正し言った。
「それに俺、捜査一課に入りたいんです! 打算的かもしれないですけど、御堂さんから盗めることってたくさんあると思うんです! だから、御堂さんの下でこれからも勉強したいです!」
「もう、殺人事件は起こらないかもしれないよ」
「きっと、なにがしかの事件に首を突っ込んじゃう気がします」
諸岡が笑い、巧も笑った。
「階、私ね。昔々捜査一課にいたんだよ。刑事畑から出て時間が経ってるから若手は知らないけど」
巧も知らなかった。目の前に、もうひとり憧れの捜査一課経験者がいたなんて。
「十年前、高校三年生の男子が死んだ。捜査一課は他殺とみて、特捜本部を立ち上げ、私も捜査員として加わった。どう見ても他殺だったからね。そこにひとりの女子高生がやってきて、鮮やかな弁舌で捜査員を圧倒した」
なぜいきなり過去の事件を話しだしたのだろう。いや、巧にはわかった。その少女の正体が誰であるか。