「どのATMから振り込まれたかは調べればわかります。あとは当該日の防犯カメラを確認するだけ。一部の銀行は年単位で防犯カメラの画像を保存しておきます。まあ、簡単に照会できるものではありませんが」
誉はスマホを膝に戻した。雪緒の目を覗き込み、語りかける。
「真実をすべて話す気はありませんか?」
ふうと雪緒が嘆息した。大人びた表情で誉と巧を交互に見やる。
「……永太に脅されていたんです。昔から、永太は俺を子分のように扱っていました」
感情のこもらない低くかすれた声だった。焦った様子はない。落ち着き払った顔は、十六歳の少年には見えない。
「残念ながら信じることはできません。きみと香西くんは対等な関係だったと見ています」
「俺と永太の関係のなにがわかるんですか?」
馬鹿にしたように言う雪緒に、誉が決然と言い切った。
「少なくとも、きみが香西永太くんを殺害したということならはっきりしています」
ふ、と空気を揺らす程度の笑いが雪緒の口から漏れた。眉間に皺を寄せ、誉と巧を馬鹿にしたように見比べる。
「俺が永太を殺した? とんでもないことを言いだすんですね」
傷ついたような、嘲笑うような口調で雪緒が言う。誉は首を左右に振った。
誉はスマホを膝に戻した。雪緒の目を覗き込み、語りかける。
「真実をすべて話す気はありませんか?」
ふうと雪緒が嘆息した。大人びた表情で誉と巧を交互に見やる。
「……永太に脅されていたんです。昔から、永太は俺を子分のように扱っていました」
感情のこもらない低くかすれた声だった。焦った様子はない。落ち着き払った顔は、十六歳の少年には見えない。
「残念ながら信じることはできません。きみと香西くんは対等な関係だったと見ています」
「俺と永太の関係のなにがわかるんですか?」
馬鹿にしたように言う雪緒に、誉が決然と言い切った。
「少なくとも、きみが香西永太くんを殺害したということならはっきりしています」
ふ、と空気を揺らす程度の笑いが雪緒の口から漏れた。眉間に皺を寄せ、誉と巧を馬鹿にしたように見比べる。
「俺が永太を殺した? とんでもないことを言いだすんですね」
傷ついたような、嘲笑うような口調で雪緒が言う。誉は首を左右に振った。